韓国・李明博大統領が光復節演説で菅直人首相談話を評価

李明博大統領復元された光化門の前で演説する李明博大統領
(2010年8月15日、AP)
 日本による植民地支配からの解放65周年を祝う「光復節慶祝式」が15日、ソウルの旧王宮・景福宮に復元された「光化門」前で行われた。

 記念演説で、李明博(イ・ミョンバク)大統領は、日韓併合100年に関する菅直人首相の談話を「日本の一歩前進した努力として評価する」と述べ、談話への答えとした。また、北朝鮮との「平和統一」に至る3段階のビジョンを示し「その日に備え、すでに統一税など現実的な案も準備するときが来た」と指摘した。

 演説で李大統領は、10日に発表された首相談話を「初めて韓国の国民に向け、韓国の人々の意に反した植民地支配を反省し、謝罪した」と指摘し「一歩前進」したと評価。

 今後の課題として、日韓が「具体的な実践を通じて新たな100年を築いていかねばならぬこと」を挙げ、朝鮮王室儀軌などの引き渡しをはじめとする談話内容の着実な履行を求めた。そして「歴史を忘れず、共に新しい未来を開拓することこそが、正しい道だ」と、未来志向の日韓関係構築を訴えた。

 一方、南北関係については3月に発生した海軍哨戒艦天安(チョンアン)沈没など「もうこれ以上、北朝鮮のどんな挑発もあってはならず、容認もできない」と強調。そのうえで、北朝鮮に「勇気ある変化の決断を下さねばならない」と求め「平和」「経済」「民族」の共同体を順次形成する3段階統一ビジョンを示した。  

 慶祝式は、景福宮前の大通りを通行止めにして実施。復元された「光化門」の扁額(へんがく)除幕式や通り初めも行われ「新しい歴史を開く門」(李大統領の演説)をイメージした演出が行われた。

◆李明博大統領演説骨子◆
 1、先進一流国家を実現し、世界の中心に立つ
 2、公正な社会と個人が幸福な国の建設を目指す
 3、ソウルでのG20(主要20カ国・地域)首脳会議を契機に、同会議を地球全体の問題解決を目指す機構にする  
 4、「平和」「経済」「民族」の共同体を順次形成する3段階の南北統一ビジョンを提案  
 5、南北統一のため「統一税」など現実的な案の準備が必要  
 6、菅首相が発表した「日韓併合100年」談話を「一歩前進」と評価。今後の課題として「具体的な実践」を要求

【2010年8月15日毎日新聞より抜粋】