32.人類は共に分かち合うべき

2012年11月1日

 世界人口は現在、70億人を超え、国連のデータからなどによると、統計では一日に20万人が生まれ、一年で7000万人増加しているという。

 恐るべきスピードで世界人口が急増しているが、問題はそれだけではない。人口が増えるとともに有限である資源や食糧問題をどのように解決すべきか、という根本的な解決策が提示されていないことである。この問題を解決しようしているのが第二次世界大戦後に設立された国際連合である。国連は戦争や紛争の解決だけではなく、地球の全人類の幸福のために、教育・貧困・病気など数多くの問題の解決のために国連にはさまざまな機関が組織されている。

 その成果も上がっている面もあるが、根本的な解決までには至っていないというのが現状である。それは国連が世界の諸国家の上に立つグローバル組織であることは間違いないが、同時にそれゆえに各国の国益やエゴ、イデオロギーや宗教、種族間の対立などの現実的な諸問題を抱えていて、それを調整するための会議や調整が機能不全に陥っているからである。

 どの国も世界平和を願い、また資源の共存共栄を願うが、それは自国の国益を超えない範囲内であり、自分の国を犠牲にしてまで、他の国のために自国の国民に犠牲を強いることができないからである。

 もしそれを強行すれば、その国民にそっぽをむかれ、たちまち政権を維持することが不可能になり次の政権に交代を余儀なくされるだろう。それは、政治的なリアリズムにおいては明らかなことであり、その点では国連では国家エゴを持つ同士が互いに穏健な妥協点を見出そうとし、それは現実的な妥協、すなわち根本策からほど遠い棚上げや現状維持に終わってしまう場合が多い。

 そのことは、現在の諸国家に見られる貧富の差、また国家内においても富める者と貧しい者の格差が存在していることからも理解できる。社会の矛盾をはらみつつ、それを知りながらも、それを早急に解決できないのが現実なのである。国連の機能がマヒしている現状は、その象徴であり、それ以上でもそれ以下でもない。この問題を解決するためには国家や民族、宗教の壁を超える新しい改革をしなければならない。

 それをしなければ、人口70億人などはすぐに超え、やがて世界人口100億人の時代が目前にまで迫ってくるだろう。その時に、限られたエネルギー資源や食糧を分かち合うといっても、それは不可能に近い。

 おそらくエネルギー資源や食糧をめぐって第三次世界大戦が勃発するという悲惨な状態に陥る可能性がある。そうなってしまえば、豊かな者も貧しい者も共に飢餓と戦争によって滅びの道をゆくしかない。これが現在、われわれがたどっている道なのである。

 その現実に眼をそむけることなく、悲観せず、希望なき時代に希望をもって、未来の子孫のために地球環境を守り、共に限りあるエネルギー資源と食糧を分かち合っていかなければならないのである。代替エネルギーについては、原子力や石油などに変わるメタンガス、バイオエネルギー、水素エネルギーなどの開発や発明がなされていて、日進月歩の科学の発展をみれば解決策はやがて見つかるという希望がある。

 しかし、それよりも困難なのは、やはり食糧問題である。人口100億人の時代になれば、何もしなければたちまちイナゴの大群が作物を食い荒らしてしまうように食糧を食い尽くしてしまうだろう。食糧を輸入しようとしても、その時、自国家を賄い、その上に余剰分を輸出できる国々がどれほど存在するだろうか。

 特に、人間の食生活に欠かせない穀物や家畜の肉は陸地という限られた食糧は一年というサイクル、または家畜が子を産む数の問題がある。人口の増加のスピードに追いつけないというのが予測されるのである。

 そのような時に、未来の食糧問題、あるいはエネルギー問題や環境問題を解決できる可能性があるのは、まだ人間がほとんど手を付けていない海の資源である。それを共同開発し、共同管理を共に分かち合い生きていく道へ、われわれは、今、他の為に生きる精神で舵取りをしなければならない時に来ている。

平和大使在日同胞フォーラム代表 鄭時東(チョンシドン)


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