59.戦後体制の真の総括を

2015年2月1日

 今年は、第二次世界大戦後から70年目に当たり、日韓関係に限って言えば、「日韓・韓日国交正常化50周年」という節目の年に当たる。かつて戦後は終わったとよく言われたが、それは果たして正しいのか。この節目の機会に、もう一度考える必要があるかもしれない。

 そのことは、現在のテロや戦争の絶えない世界情勢の緊迫化や昨今の日韓・韓日関係の緊張状態を考えれば理解できる。世界は、これまで世界的な戦争として第一次・第二次という二度の大戦を経験している。このような世界的な被害の多い戦争を通じて、人々は二度と戦争の悲劇を繰り返すまいと誓った。それが第一次世界大戦後に創設された「国際連盟」であり、そして、第二次世界大戦後には、「国際連合」が創設された。

 この国際的な組織が多くの面で平和へ多大な貢献したことは認めなければならないが、「国際連盟」が第二次世界大戦の悲劇を食い止められなかったことは間違いのない事実である。その反省をふまえて「国際連合」が創設されたのだが、この組織が第三次世界大戦を防ぐことができるのか、今の段階では何ともいえない状況だ。

 とういうよりも、その危機はイスラム教過激派によるテロ活動の活発化や冷戦構造逆戻りした感のある、ウクライナ紛争を巡るアメリカとロシアの対立、中国の軍事的脅威などによって、むしろ大きくなっているといえるだろう。ただし、第一次と第二次の戦後処理では、大きな違いがあることはあまり知られていない。

 第一次大戦後は、勝者が敗者を裁き植民地を奪い巨額な賠償を敗者につきつけたが、第二大戦では、勝者は敗者をいたわり多くの植民地下にあった国々を解放し独立を支援した。その意味では、両者の世界大戦における戦後処理は大きく違うことは間違いないのだが、その「国際連盟」の反省を含めた「国際連合」でも、今や限界に来つつあることは認識しておかなければならない。

 平和をどのように作り出していくのか、それはどのような国も逃れることのできない現実であり、願いである。

 そのためには、「国際連盟」が防ぐことができなかった轍を踏むことなく、「国際連合」がより世界平和へのリーダーシップを取ることができるようにすること、そして、大国も小国も、国家的なエゴを捨てて助け合い、協調していくことが重要である。特に戦争の導火線となる経済格差を埋めるための技術移転の問題や民族や宗教の違いを超えて和解していく道が求められなければならないだろう。

 また、懸案になっている韓日関係にしても、何らかの形で、両国の狭間に苦悩する在日同胞にとっても、この問題を解決する道筋をつけなければ韓日関係において、未来の両国の国民にとっても、不幸としか呼ぶことができないような関係になる可能性を否定できない。

 一衣帯水の国同士が、このような関係を続けることは、悲劇的な戦争の引き金ともなりかねない原因となる恐れがあるからである。その意味で、50周年という節目の今年は、その関係の修復の上では、またとないチャンスである。

 韓日関係には、まだ知られざることが多い。たとえば、韓国の造船技術やその他様々な分野の発展には、無償で日本が技術供与したことなども、もっと知られていいことだろう。

 今後、両国は、冷静に外交交渉を積み重ねていくことが重要である。その点では、韓日の首脳会談の開催こそ、今年の重要な課題とならなければならない。

平和大使在日同胞フォーラム代表 鄭時東(チョンシドン)


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