40.6・25休戦協定から60年

2013年7月1日

 今年は韓半島において起こった韓民族同士の戦争の悲劇、朝鮮戦争の休戦協定から60年という節目を迎える。 6・25動乱は、韓半島で起こった戦争だが、そこには民主主義と共産主義という思想的対立、国連軍の参加による国際紛争の様相を持ち、それによって隣国であった日本もその影響を受けたことは間違いない。

 結果的に日本が経済復興し、占領統治が集結した。その意味で、韓半島情勢は対岸の火事ではなく、一衣帯水の国家として、日本の将来と深く関わる問題である。しかし、そのことがよく知られているとは言いがたい。

 日本は長い間、近世史において島国という特殊事情を抱えて「鎖国状態」にあったために、その思考や方向性が孤立的な傾向があるからである。最近、韓半島をめぐり、北朝鮮の核開発などの問題、中国と韓国が接近することによる自由と民主主義陣営の韓日関係の危機を迎え、半島における政治情勢は流動化している。その流動化した東アジア情勢は、そのまま日本の将来に影響を与える面が多大であることは言うまでもない。

 特に、一衣帯水の日本と韓国の関係がぎくしゃくしていることは、アメリカを含む自由民主主義国家の行く末を左右しかねない波乱要素を含んでいる。それゆえに、価値観を共有した自由と民主主義のアメリカと日本と韓国が連携して、共産主義思想を中心とした軍事強国の中国や覇権主義的傾向をもつロシアとともに、孤立化している北朝鮮をソフトランディングするために六ヵ国協議を再開しなければならない。そうしなければ、中国の北朝鮮への軍事介入という事態を引き起こしかねず、それはそのまま韓国の混乱、そして、下手をすると韓半島からボートピープルのような難民が押し寄せることにもなりかねない。

 共産主義理論を捨てていない中国の進出によって、そのまま日本がその影響圏に取り込まれてしまうということである。そうなれば、日本は一国の孤立化した国として平和を維持し貪(むさぼ)ることはできない。再び紛争と戦乱の戦火に巻き込まれてしまう可能性さえある。

 現在、韓半島における38度線が韓国と北朝鮮の国境線の代わりとなっている。が、この軍事境界線は暫定的なものであり、1953年に締結された休戦協定によって定められたラインなのである。このために、平和に見えている38度線を境にした北朝鮮と韓国は、いつその臨時的に引かれた休戦ラインを越えて攻撃へと転化するかもしれない。

 特に、ここ数年は北朝鮮に強硬姿勢を取ってきた政権が続いてきたために、核開発やミサイル問題などで緊張状態が大きくなっている。しかも、新しく誕生した朴槿恵大統領は、中国との関係を重視し、日本との関係に距離を置く気配がみられ、それはアメリカを軸とした日韓米の関係に複雑を生みかねないものとなっている。

 また、日本も、中国、韓国、ロシアと領土問題を抱えて、どのような方向性をもって外交の舵取りをしていくか、難しい状況にある。その意味でも、韓半島における安定と平和、そして、南北の平和統一という目標に向かって努力していかなければならない。これまで、政治的には、たびたび北朝鮮と韓国において協議を重ねてきたが、特に2000年の金大中韓国大統領と金正日総書記との間に結ばれた 「共同宣言」は、平和統一への一里塚として注目される。

 対話を通じて南北の平和交流を重ね、そして、日韓米や中国、ロシアが共同してそれを導いていくというプロセスを改めて実行していくことが必要だ。そのためには、韓国と北朝鮮の前哨戦のように対峙している日本国内の在日同胞の組織などが交流を重ね、和解していくことが求められている。これを仲介していくのも日本の重要な役割であり、そのことを通じて、日本の国益にもつながりひいては日本の国際的な立場の足場を固めることにもなるだろう。

平和大使在日同胞フォーラム代表 鄭時東(チョンシドン)

【参考リンク】 六者会合 (Wikipedia)

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