35.南北平和統一へ6ヵ国協議を

2013年2月1日

 2013年、世界主要国の新リーダーが誕生し、世界情勢の大規模な変動も十分に予想される年となった。

 アメリカは、民主党のオバマ大統領の再選、ロシアは強権政治で知られるプーチン大統領の再登場、中国の習近平総書記という新体制の確立、北朝鮮の金正恩第一書記、また、韓国では歴史上初めての女性大統領である朴槿恵大統領の誕生、日本は保守派である自民党の政権奪還による安倍首相の再登場など、世界情勢を左右する国々の新リーダーの顔ぶれが大きく変わった。

 それに歩調を合わせたわけではないかもしれないが、チュニジアの「ジャスミン革命」に端を発した中東情勢が新たな紛争の種を蒔いている。チュニジアからエジプト、リビア、そして、シリアと民主革命の波は波及し、多くの独裁政権を倒しドミノ現象が続いた。

 しかし、その「ジャスミン革命」は、民衆の解放という側面とともに、中東のイスラム教の台頭による新たな紛争の種を生み出していることも確かだ。

 模範的な例と見られていたエジプトは、ムバラク大統領の退陣の後の国民選挙で保守的なイスラム原理主義が台頭し、西洋的な民主化を求める勢力と衝突を繰り返し、混乱と紛争の中で予断を許さない。

 まだ激しい戦闘を繰り返しているシリアにおいては、その沈静化が収まる気配さえない。無血革命「ジャスミン革命」から始まった中東ドミノ革命は、また新たな世界平和を脅かす要因を作り出しているのである。

 その上、中東情勢では従来からのイスラエルとパレスチナの対立もくすぶり、イランの核開発の動きもあって、イスラエルの軍事攻撃も一触即発の状態を迎えている。このような中にあって、日本、韓国、北朝鮮、中国を含む東アジアの情勢は、また北朝鮮の金正恩第一書記を中心に核ミサイルの発射実験、日韓中をめぐる領土問題などをめぐって緊張関係を強いられている。

 特に、一番若いリーダーである北朝鮮の金正恩体制は、食糧問題や政権の不安定など内外の困難な危機を抱え、どのような舵取りをするか、冒険主義的な戦争を選ぶという危険性を否定できないものがある。

 また、韓国の朴槿恵大統領は、北朝鮮との外交で、保守的な路線をたどるとはいえ、どのような布石を打ち、経済大国の道を歩む韓国をどのような方向性へ導くのか、その指導力は未知数である。

 その上、世界有数の経済・軍事大国として経済力でアフリカや太平洋諸国に影響力を強めつつある中国の領土拡張主義によって、周辺諸国と軋轢を繰 り返していることも注目しなければならない。

 中国は、ベトナムやフィリピン、日本、韓国などとも領土紛争を起こしているが、それは海の資源問題、シーレーンの問題とも深く関わっている。

 この問題が重要なのは、海底に埋蔵しているエネルギー資源や希少金属などの問題もあるが、それ以上に、中東などから運ばれてくる石油資源などに代表される海の航路の確保が経済と軍事的な面において緊急な命綱になることである。

 特に、資源を海外から輸入している韓国や日本などは、このシーレーンが中国に扼されれば、その生命の生殺与奪のカギともなりかねない。

 そのことを考えれば、韓日は国益と世界平和のためにも、両者が経済的にも軍事的にも緊密な関係を結び、友好関係を強めることによって、こうした 危機的な状況を防御し打開しなければならない。

 世界を巻き込んだ第一次世界大戦が小さなボスニアの暗殺事件から端を発したことを思い出す必要がある。その意味でも、東アジア情勢を流動化させ戦争を勃発させるかもしれない核開発を進める北朝鮮との関係を改善し、安定的な平和関係を築かなければならない。

 そのためには、当事国の韓国と北朝鮮だけではなく、日本・アメリカ・中国・ロシアなどの周辺の諸国を動員した「六ヵ国協議」を再開し、この問題の解決に当たらなければならないことは言うまでもない。

平和大使在日同胞フォーラム代表 鄭時東(チョンシドン)

【参考リンク】 安倍晋三(Wikipedia)
(順不同) 朴槿恵(Wikipedia)
  バラク・フセイン・オバマ・ジュニア(Wikipedia)
  ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・プーチン(Wikipedia)
  金正恩(Wikipedia)
  習近平(Wikipedia)

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