70.新時代の日韓・韓日関係

2016年1月1日

 明けましておめでとうございます。

 一年の初めには、今年はどんな年になるのだろうと、誰でも考え、そのために、占いなどで運勢などを調べるたりすることが少なくない。占いは確実なものではないが、古来から一年の方向性や人生の指針の参考にはなるので、ここで少し紹介したい。

 それによると、2016年の今年は、干支でいえば、丙申(ひのえさる)の年。「丙申」は、五行でいうと「金」の属性、陰陽では「陽」の属性とな る。漢字でいえば、「申」は樹木の果実が熟した状態、「丙」は火を表し、横に燃え広がるという意味があるという。

 この二つを合わせた「丙申」年は、「物事が大きく進歩発展し、成熟する年」。この言葉からは、明るい未来を感じることができるが、はたしてそうなるかどうかはわからない。ただ、そのように考えて行動することは極めて重要である。

 今年は、政治的にみても重要な年である。日本でも、参院選が予定されているが、むしろ海外では、台湾総統選挙、そして、アメリカの大統領選挙が 行われるように、今後の世界情勢に大きな影を及ぼす選挙がある。特に、アメリカの大統領選挙は、民主党のオバマ大統領から誰がその政権を継ぐのか、という焦点が当てられている。

 民主党が続けて政権を担当するのか、共和党が久しぶりに返り咲くのか。そうした結果によっては、東アジア情勢も大きく影響を受けざるを得ない。特に、中国や北朝鮮の動向にも、アメリカの次のリーダーが誰になるかによっては、大きな波紋を呼ぶかもしれない。経済大国として、また、軍事大国として、プレゼンスを高める中国、そして、核開発を推し進める北朝鮮、それがいつ戦争の火種となるか、誰も予想できない段階に入っている。

 このような状況の中で、好転しているといえるのは、冷え切っていった日韓・韓日関係にクサビを打ち込むような首脳会談が昨年、行われたことであ る。一衣帯水の国同士で首脳会談さえ行われないというのは、異常事態だったから、その意味では少なくとも窓口が開かれたということは一歩前進であ る。

 たとえ、それがあまり成果のない会談だったとしても、会談という土俵に入って首脳同士が語り合う場を持てたことは、今後の日韓・韓日関係におい ては、やはり明るい兆しといえるだろう。それまでがほとんど外交ができなかったことを考えればであるが……。

 今年は、その土台の上でさらに両国関係が深まり、発展することを願いたいが、それも両国民の努力、互いに相手のことを思いやりながら、草の根交流を重ねていくしかない。草の根交流は、互いの民族の文化の違いや歴史を知ることで、より深く互いの事情を知ることによって平和への願いも深まる。

 よく知り合った友人や家族のように付き合っている人同士になれば、自然に平和を願い、ともに幸福になることを願う。そのような関係を築くこと、それが平和への道である。そして、その関係を築く上でも、日本国内に在住している在日同胞及び国際家庭の存在は欠かせない。

 日本と韓国という二つの国の架け橋となる彼らこそ、まさに日韓・韓日平和友好を結ぶキーワードとなる存在であることを改めて知らなければならない。その意味で、2016年の今年が、文字通りに丙申年の「物事が大きく進歩発展し、成熟する年」となることを祈願する次第である。

平和大使在日同胞フォーラム代表 鄭時東(チョンシドン)

【参考リンク】 日韓問題 (Wikipedia)

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