67.国連の果たす役割と未来
今年、世界平和を目指すために創設された国際連合は、70年という年を迎えた。大戦の混乱とさまざまな問題・紛争や病気、飢餓などのさまざまな案件に対し、国連が存在しなかったならば、現在の世界はまだ戦争を繰り返し、人類を脅かす自然災害、病、飢餓、エネルギー問題などで混乱し、平和な世界を維持できたかどうかわからない。韓国動乱参戦でみられるように国連の果たした役割、世界平和や幸福のために寄与した貢献や意義を認めなければならない。
しかし、もう一方、国連も、さまざまな諸国家の集まりであるために、各国の思惑や国益、主義主張や民族感情、宗教思想などの違いによって、必ずしも公平かつ民主主義的に運営されてきたともいいがたい。その意味では、国連も組織として、その限界を露呈していることも確かである。機械には耐性があり、また寿命があり、金属疲労による故障をふせぐために、定期的にメンテナンスがなければならない。
それと同じように、国連もまた、完璧な組織ではなく、人間が作り、第二次世界大戦後の世界状況から生まれたように、その問題や限界、故障、そしてメンテナンスを必要としている。今や大国の思惑や多数の国家を巻き込んだ国家的なエゴによって、本来の公平かつ世界平和に貢献すべき決議や条約、役割が十分に果たせなくなって いるからである。
その点を考えれば、国連の憲章をよりよく実現するために、国連も改革すべきときが来たというべきである。よく知られているように、国際連合は第二次世界大戦の反省を踏まえ、新世界秩序を世界平和や共存共栄などを旨として創設された。世界を巻き込んだ世界大戦という未曾有の被害を与えた戦争を再び起こすまいという反省と誓いが背景にある。
省みれば、世界を巻き込んだ大戦といえば、第一次世界大戦がある。そして、その教訓を生かし、世界平和実現のための世界的な組織である国際連盟が誕生した。しかし、その平和のために創設された国際連盟は、結果的には第二次世界大戦を防ぐことができなかった。そのことが、国際連盟の限界や問題をよりよく解決するために、発展的に解消し、新たなる組織である国際連合を創設するにいたったのである。
この経過を考えれば、国際連合もその役割や現状世界のよりより解決のためには、発展的な改革を考えることは十分に必要な案件であることは間違いない。もちろん、まだ世界を巻き込む第三次世界大戦は起こっていない。さまざまな地域における紛争、テロ、戦争はあるが、世界的な戦争までは至っていない。しかし、第三次世界大戦が起こってからは、もはや遅いのである。現在の世界が保有している武器は、核兵器に象徴されているように、もはや第一次・第二次大戦の被害では収まらないほど強大であり、脅威的な科学技術水準にある。
もし、世界大戦の三度目が起これば、世界は二度と立ち上がれないほどの膨大な災害となり、文明自体が崩壊の道をたどるかもしれない。それほど恐ろしいほどまでに、武器は最終兵器といっていいほどの発達を遂げているのである。その意味で、われわれは真摯に世界平和実現のために、国際連合改革のために衆知を集め、国家のエゴや国境を超え、また主義主張の壁を崩し、民族や種族の違いを超え、宗教思想の溝を超えなければならない。
世界がひとつになるために、それぞれの国境線や溝や壁を超えるためには、現在の国連を支配している大国の支配や国家のエゴを超える思想・宗教、すなわち、賢人たち、宗教指導者たち、科学者などの叡智を集めた、新たな国連の組織の創設こそ求められるものである。
平和大使在日同胞フォーラム代表 鄭時東(チョンシドン)
【参考リンク】 | 第一次世界大戦 (Wikipedia) |
国際連盟 (Wikipedia) | |
第二次世界大戦 (Wikipedia) | |
国際連合 (Wikipedia) |