47.2020東京五輪へ向けて
2020年、アジアの日本の東京で二度目のオリンピックが開催される。そして、その前に2018年、冬季五輪も同じアジアの韓国の平昌で開催される予定になっている。それは今後、どのような影響をアジアに、そして、日本にもたらすのだろうか。
このようにアジアの両国で開かれる夏季と冬季のスポーツの祭典は、今後の世界情勢にも少なからぬ影響を与えることは間違いない。特に、近年、日韓関係は冷え切っている状態になっているが、このスポーツの祭典を通して、新たな東アジアを中心に平和友好を深めていくまたとない機会でもある。そのことをわれわれは忘れてはならない。
韓日がいがみ合っていては、東アジアにおけるバランスが崩れて、中国、ロシア、北朝鮮といった軍事的な脅威が高まり、新たな紛争や戦争に発展しかねない不安要素にもなりかねないからである。その意味でも、韓日が共に協力して、この冬季・夏季のアジアにおけるオリンピックをぜひとも成功させなければならない。
アジアではじめてオリンピックが開催されたのは、1964年の東京オリンピックだった。50年前に行われた日本のオリンピックから韓国、中国とアジアで開催するようになり、アジアの繁栄と平和に貢献した。アジアのオリンピックは、島嶼国家の日本、半島国家の韓国、大陸国家の中国という世界を象徴する大会だった。
この五輪大会が深い意味をもっていたのは、アジア地域ではじめて開かれた大会というだけではなく、有色人種国家における史上初の大会であるという点である。近代オリンピックは、単にスポーツの大会というだけではなく、世界平和をもたらす平和の祭典としての意味があったことを知らなければならない。
クーベルタンの近代五輪の精神は、まさにそうした平和の祭典としてのオリンピックの復活であるといえよう。そのことを改めて確認しながら、日本も韓国も互いに未来志向を中心として、助け合い、共に成功を成し遂げていく必要がある。
民主主義の国家として、アジアの経済と平和の発展をリードしてきた日本と韓国は、アジアの諸国の成長と発展、豊かな文明国家として、今後も協力しながら提携していかなければならないのである。歴史問題など両国に広がる溝があるのは確かだが、対立よっては何ものも生まれないことを考えれば、この平和の祭典の冬季と夏季のオリンピックは、友好と平和のえにしを再び深め合うまたとないチャンスである。
世界の平和祭典であるオリンピックは、民族の違いや宗教文化の差異を超える、それだけの力をもっているといっていいだろう。しかも、両国の絆を結ぶための在日同胞の存在も大きい。一世から二世、三世、四世へと受けつがれてきた在日同胞の歴史は、両国の溝を埋めることができる架け橋的な存在である。
日本は、こうした在日同胞を通して韓国との相互理解を深め、また、韓国も、この在日同胞を通じて日本と交流を重ねていくことによって、誤解を解き、未来の日韓友好関係への礎を築くことが求められるのである。日本は、元々1940年に大会が予定されていたが、日中戦争などの影響もあって、日本が返上したという経緯がある。それだけ、オリンピックは、国家や国民が総力を結集しなければ、開催できない平和の祭典である。
古代ギリシアのオリンピックも、対立し、戦争を繰り返していた都市国家同士が、この期間だけでも武器を置き、スポーツで互いに闘い、勝っても負けても健闘をたたえ合い、平和な時間を謳歌した。文字通りに、戦後の1964年に開催された東京オリンピックは、日本が武器を棄ててまさに憲法に謳った「恒久平和」を表した平和の祭典となった。
それは日本の復興の跳躍への架け橋となっただけではなく、平和を生み出す思想の原点ともなったことを今一度思い起こし、韓日・日韓関係を新たな次元で構築しなければならないのである。
平和大使在日同胞フォーラム代表 鄭時東(チョンシドン)
【参考リンク】 | 東京オリンピック(1964)(Wikipedia) |
ソウルオリンピック(1988)(Wikipedia) | |
北京オリンピック(2008)(Wikipedia) |