82.今年は変革と転換の時代
今年は、はたしてどんな年になるのか。新しい年を迎えるたびに、思うことは同じだが、新しい年がまったく何もないゼロから始まるわけではないことは言うまでもない。昨年の様々な出来事が今年起こることの原因であり、そして、昨年をよく考察すれば、今年の行く末が見えてくる。
自分の周辺から大きくは、国家、世界の出来事まで、ひいては過去の蓄積であり、昨年の課題が顕在化し、発展していくプロセスをたどり、結実していく。そう考えれば、今年がどのような年になるか、その鍵を握るのが、昨年の世界情勢であり、そして、手がかりとなるのは、それ以前から継続しているDNAともいうべき歴史的な出来事である。
歴史的にみれば、500年前西洋史では、重要な出来事であるルターの宗教改革が起こっている。この宗教改革によって、同じキリスト教文明であっても、カトリックとプロテスタントに分かれ、西洋文明の歴史の方向性が決定されたといっていい。また、この流れの中から、神を信じる唯心論と神を否定する唯物論が生まれ、そして、その土壌から資本主義と共産主義の思想が誕生し、現在の主な思想的パラダイムを形作っている。
もちろん、この流れの中には、現在の世界情勢を動かしているイスラム教や仏教、ヒンズー教、儒教などの宗教諸派や資本主義と共産主義の折衷的な社会主義思想などがあることも確かである。こうしたさまざまな思想と宗教の対立によって、世界の国々は翻弄され、あるいは和合し、平和を模索しながら現在にまで至っている。そして、その対立や国家エゴイズムを調整し、平和的な関係を維持するために創設されたのが国際連盟であり、その後継者である国際連合である。
しかし、その国際機関における紛争や戦争の調停と政治能力には、かなり限界があり、その働きだけを頼っていては、世界平和実現にまだかなりの時間と問題を抱えていることを認めなければならない。こうしたカオス的な混乱と衝突の中で、今年はスタートするが、やはり世界情勢を占う上で、外せないのが大国アメリカのトランプ大統領の存在である。
トランプ大統領が就任式以降、どのような方向へアメリカをもっていくのか、その同盟国である日本と韓国をはじめとした民主主義国家にとっても、座視しえない問題である。その上、共産主義国家である中国・北朝鮮、そして、レーニンのロシア革命から100年目を迎えたロシアの動向が政局にどのように影響するのか、これもまた未知数である。
それに加えて、今年はイスラム原理主義者のテロ活動は、さらに活発になるだろうという予想もある。こうした戦争や紛争の種になるのは、中東、アフリカ、北東アジアなど、今や世界各地に存在し、どこから第三次世界大戦がはじまっても、不思議ではない状況である。
その中でも、特に、われわれに直接かかわるのは、北東アジア情勢であり、核兵器開発を進めている北朝鮮の動向である。この韓半島における南北平和統一への道筋が順調に進むのかどうか、それによっては、今年が大きな変革の時代のターニングポイントになるかもしれない。
かつて、世界的な宗教指導者であった文鮮明総裁は、在日コリアの和合を通した南北平和統一こそ世界平和の鍵であると述べたことがある。その意味では、今年は変革や転換の時代になる可能性があり、いい方向にいけば希望の飛躍や新しいパラダイムを生む年になる。それを実現する担い手にならなければならない。
平和大使在日同胞フォーラム代表 鄭時東(チョンシドン)
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