29.韓国戦争休戦60周年迄に講和条約を
今年は、朝鮮半島を引き裂いた1950年6月25日から1953年7月27日まで行われた韓国戦争(朝鮮戦争)の休戦協定から、59周年を迎えている。来年は60周年という節目の年になる。
だが、半世紀以上経っても、多くの同胞の血を流しながら行われた悲劇の戦争は、いまだその完全な終結を見ていない。現在の38度線を接して対峙する韓国と北朝鮮の国境線は、休戦協定によって暫定的に画定されたものであって、戦争終結によって結ばれた平和協定とは違っている。
だから、現実的に北朝鮮と韓国はいまだ法律的には平和的な関係ではなく、戦争状態の延長であるといってよい。そのような不安定な両国が、時折、その政治情勢の変動によって(それは政治的要因が主となる場合が多い)、38度線付近で一部武力衝突や威嚇などの小競り合いなどを繰り返す原因になっている。
たとえば、最近だけでも、2010年3月の天安艦事件や11月に 延坪島近海で起きた朝鮮人民軍と韓国軍による砲撃戦の「延坪島砲撃事件」は、その例といっていいだろう。このような緊張状態が続いているゆえに、南北の平和統一を両国が模索しながらも、両国の統一案の合意点をいまだ見出せない状況だ。
それだけではなく、南北の国家に分かれた韓民族の分断状況の悲劇は、いまだ離散家族の問題なども引きずっていて平和統一への願いは緊急の懸案となっている。戦争を経験した第一世代が高齢となり、時間の経過とともに亡くなっていくという現実を忘れてはならないのである。
そうした世代が亡くなっていけば、平和統一を成し遂げるという国民的合意や同胞愛や家族愛という絆が失われていき、統一への機運や熱情もまた、薄れて消えていってしまう可能性が高い。
そうでなくても、現在の豊かな経済力を誇る韓国では、国民の意識が「南北平和統一」ということに関して徐々にその意識が低下している面がある。南北の平和統一にかかる莫大な資金が、韓国の豊かな生活を圧迫し、かなりの犠牲と我慢を強いられるという試算があるので、生活を重視する若い層を中心として統一よりも分断の固定を望む調査結果も出ている。経済的豊かさを手放してまで、統一する必要があるのか、という不満である。
特に、経済格差がそれほど開いていなかった東西ドイツの統一では西ドイツ国民が10万円を13年間負担し、韓国と北朝鮮の経済格差はかなり開いており、統一すれば韓国民の負担がドイツの10倍以上になるという恐れがある。同じ同胞であっても、時間が経過していけば、別な国家として対立していくというのは、歴史を調べれば数多く出てくる。
その意味で、韓国戦争(朝鮮戦争)以来、60年近くになる今の時点は、平和統一を実現する最後のチャンスといえるかもしれない。その点で、どれほどの痛みがあろうとも、われわれはこの平和統一を実現していかなければならない。
それに、この韓国戦争(朝鮮戦争)は、分断の背景に民主主義と共産主義の対峙、イデオロギーの対立があることを忘れてはならないだろう。この戦争には、両国の兵士だけではなく、国連軍16ヵ国兵士が参加し、また共産主義国家・中国やロシア(当時ソ連)からも、武器や兵士が動員されたという思想戦争の一面をもっているのである。
すなわち、韓国と北朝鮮という分断は、これまで第二次世界大戦以後、世界各地で戦争を引き起こしてきた思想対立の象徴的な現場であり、世界平和を実現するための縮図であることは間違いない。だからこそ、休戦協定から60周年を迎える2013年が重要であり、南北平和統一のために、われわれは備えなければならないし、実現のために各自行動を起こさなければならないのである。
平和大使在日同胞フォーラム代表 鄭時東(チョンシドン)
【参考リンク】 | 朝鮮戦争(Wikipediaより) |
朝鮮戦争の休戦協定(北海道新聞より) | |
朝鮮戦争休戦協定(転載元:「韓国民族民主インターネット放送局 」) |